短編 不動産・物件の怖い話

いわくつきテナント物件【ゆっくり朗読】3500

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城東区で仕事していた時だけど、飲食店を経営するにあたって結構お得な物件を見つけた

2008/08/03(日) 10:09:09 ID:wMyB1WVX0

二階は普通の大家さんが住んでいて、一階がテナントなお店。

たむけんの焼き肉屋(炭火焼肉たむら)から近いかな。

まぁ、食べていくには困らない経営していたんだけど、あるとき車の事故起こして、修理するために店から三分位離れた修理工場に持って行った。

近所付き合いする方ではなかったんだが、向こうはこちらを知っていたらしく、修理の人に「あそこのテナントですね、大変でしょう(笑)」と言われた。

へっ?と思って、「何かあったんですか?」と聞いたら、「知らないならそれに越したことはありませんよ」とはぐらかされた。

あまりに気になって、しつこく食い下がると教えてくれたんだが、過去そこのテナントは、三回経営者が変わっているらしい。

で、二人そのテナント内で首つり自殺してて、一人はノイローゼになって行方不明らしいとか。

にわかに信じられずに、そんな馬鹿な!と思ったが、不況だったんでまぁありえるかなと思った。

ちなみに、店で自殺はあれだが、自殺するような人間に俺が祟れる訳ない的思考です。

けど、お店にいてもずっと気になって、近くの喫茶店とかアルバイトに聞いてみたら、なんか嫌な話が続々出てきた。

テナント借りている家は名家の類いだけど、四代位続けて男は三〇までに死んでいるとか。

今の家主さんの子供は男三人娘一人だけど、男は全員三〇までに死んでいる。

旦那も三〇前に病死。首つり自殺一人有り。

また、うちの店の三軒離れたバーに、霊感がある人が誘われた時に、「こんな怖いとこでは飲めない」と帰っていったとか。

自分の店の周辺は、空襲で死んだ人を取りあえず置いておく場所に使われていたとか……

そういえば、霊で有名な深江橋の近くだし、なんかあるのかなぁと思ったけど、商売順調で関係ないやだった。

忙しい時は店に泊まってたけど、霊とか微塵も感じられなかったしね。

で、平和な日々が続くある日、それは起こった。

その日、オープン前に店の前を掃除していたら、パソコンのプリンターを買った大家さん(未亡人三〇代前半)が、プリンターを休憩はさみながら必死で二階の家に持って行こうとしていた。

しんどそうなので、「自分で良ければ家まで運びましょうか?」と言ったら、「迷惑かけますのでいいです」と言われた。

けれど、微妙な下心があったので、半ば強引に「お手伝いしますよ」と、家まで運ぶことにした。

二階まで運んで、「ここでいいです、ありがとうございました」とお礼されたけど、パソコンに詳しかったんで、「接続しますよ」と玄関で話していたら、その家のおばあちゃんも出てきて、少々のやり取りの後、お願いされることになった。

で、無事接続も完了して、お礼にコーヒーを用意してくれる事になって、未亡人とおばあちゃんが出て行ったあとに、尿意を催してトイレに行きたくなった。

お店でしようかなと思って、一回店に戻ろうとして廊下を通ると、半分障子が開いている部屋が目に入った。

なんとなく部屋を障子ごしに覗いたら仏壇があり、(今思うと、仏壇かどうかはわからないが)部屋の上のほうに、物故者の写真が額縁入りで大量に飾られていた。

結構壮観な並びで、さすが早死に名士の家計だなと感心して、通り過ぎようとして妙な違和感を覚えた。

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一個だけ写真がない額縁があったのだ。

こういう時に、他と異質な物を注視してしまうのは人の常であろう。

ついついその額縁を見てしまい、自分は心の底から恐怖した。

朱色の墨で、自分の名前と生年月日が書いてあったのだ。

周りを慌てて見渡すと、台所でなにかしゃべっている声が聞こえる。

黙ってさっきの部屋に戻り、急な仕事の用を思い出した事を告げて、家を脱出して店に戻らずに、色々な事を投げ出して逃げた。

FC店だったために本部の方を通して、一切その大家さんに関わらずに権利関係の処理できたのが、不幸中の幸いだった。

ホテル暮らしを転々として実家にも連絡を取らなかったけど、後で聞いたところによると、最初のうちは頻繁に実家に連絡があったらしい。

今は東京に住んでいるけど、未だに怖くて大阪には帰れないし、住民票も移していない……

(了)

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