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短編 家系にまつわる怖い話

一族の秘密

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うちの一族の話を一つ。

俺が小学校に上がる年、住んでいた家が平屋から新築の二階建てになった。

当時の俺は夜に二階に上がるのが嫌だった。

夜になると階段の踊り場にいつも影のようなものがいるのが見えたのだ。

人か獣か、何かなんてわからないけど、とにかくそいつはいつもニヤニヤしながらこっちを見ていた。

両親にはもちろん相談した。

父も母も、まあ暗がりをお化けと思い込みおびえてるんだろう、みたいな対応でまともに取り合ってくれなかった。

それから少し後、いつもそのニヤニヤが見えていた場所に猫の置物が置かれた。

この猫の置物も一体どこで買ってきたんだよっていう造りで、

皆が想像する黒目の大きいかわいらしいものではなく、目も見開いて口元は笑っている、

とにかく薄気味悪い表情をしている木製の置物だった。

俺は当然怖がり、怒り気味に両親に撤去することを訴えたが当の両親は

「おばあちゃんがせっかく〇〇(東南アジアのどこか…)で買って来てくれたお土産なのに、なんでそんなこと言うの!」

と逆に怒られた。

その後しばらく俺は置物におびえていたんだが、

年が上がるにつれあまり気にしなくなり、置物もいつの間にかどこかに片づけられていた。

今では俺も成人して所帯持ちだ。

実家にも年に二度ほどしか帰ることはない。

今年の正月に帰省した際、父親と酒を飲みながらその当時の話なんかもしながら懐かしんでいた。

孫の顔もちゃんと生きてるうちに見せるから心配するななんて話になった時、父親は

「そういえば一応見せとかなあかんあかったなぁ」

と言いながら赤い顔で仏間に行き、反物みたいな帳面を持って戻ってきた。

その時初めて知ったのだが、うちは浄土真宗に属していたらしく、

亡くなった人を供養するのに位牌を使わず、代わりに名前を帳面に記していくらしい。

一日~三十一日が一ページごとに表記された帳面には、所々にご先祖様の名前が表記されてあった。

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当然聞いたことのない名前が多かったのだが、ここからが本題。

実は父も祖父も次男坊で、上に兄弟がいたが二人とも幼い頃に兄を亡くしたそうだ。

昔その話を聞いた父方の祖母が、嫌な偶然もあるものだと、興味本位でその辺のことを調べたことがあったらしい。

そこでわかったのが、少なくとも江戸時代の終わりごろから親父の代までうちの一族の長男長女が全員十五歳までに何らかの理由で亡くなっているということだった。

祖母はそのことをかなり気味悪がって、知り合いのお寺とかに相談しに行ったみたいだが、

なんせ元が貧乏農家なもので、どこで怨みを残したとかなんて、少しさかのぼればすぐに調べようがなくなる。

ただ分かったのは、家の建っている台地周辺が昔は住んだり、作物を育てたりすることがあまりなかった、ということだけ。

それだけで結局は分からずじまい。

まあ貧しい時代ならそういう不幸が重なることもありえるだろう、というのが親父の談。

祖母が昔買ってきた例の置物も、実は魔除けのたぐいのものであったということも、その時知った。

話は変わるが今年の五月、俺に第一子が生まれる。

正直、衣食住が豊かな今の時代にそんな呪いみたいなことがあってたまるものかというのが俺の持論。

現に俺はこうして今まで生きている。

それでも幼い頃に見たあの影のことが脳裏をよぎる。

嫌な偶然は俺で終わったということを信じたい。

以上、あんまり怖くないけど実話です。

(了)

 

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