短編 心霊 怪談・実話系

ホイド女【ゆっくり朗読】2400

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俺が大学生のとき、週末だけバイトしてた某ファミレス店での話。

162 :本当にあった怖い名無し:2014/10/18(土) 20:10:25.30 ID:g11caA2x0.net

二十四時間営業のその店では、従業員同士の“霊がでる”系の噂もなく、

霊感があるという常連のお客さんと、霊感ありのマネージャーからたまに私生活での怖い体験談を聞くことがあったんで、その二人に面白半分に聞いてみても、

「この店で幽霊を見たことがない」という、オカルト好きの自分には非常に残念な店だった。

ちょうど今くらいの季節だった。

深夜の人手が足りないというので、一度だけ土曜の夜七時~深夜三時までシフトに入ったことがあったんだよね。

夜時を過ぎたころ、俺と同じ大学生くらいの男五人がワイワイと入店してきた。

カウンター席に近い奥まったところに案内して、メニューとお冷を運んだ。

席につくなりそいつらは、

「マジやばかったなあそこ」

「もう行かないほうがいい」

「誰だよ肝試ししよっつったの」

などと興奮気味に話してた。

あーこいつら心霊スポット行ってきたなってピンときたけど、詳しく聞かせろとも言えないので、

「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」と言ってその場を離れた。

しかしこいつらは声がデカかった。

客も少なく暇だった俺は、カウンターの中で掃除するふりして聞き耳を立てた。

「マサオ遅くない?ちゃんと車ついてきてた?」

「大丈夫っしょ」

「まさか事故ってないよなメールしてみる?」

間もなくして細身でメガネのマサオらしき男が入店してきた。

「おせーよ!」

「どしたん?」

「心配したわ」

先に来てたやつらが笑いながら言ったが、マサオは憔悴しきっていて無表情だった。

俺は水とメニューを運んだ。

席につくとマサオは

「お前ら……ほんとふざけんなよ……シャレならん先に行くとか」と言った。

他のやつらは「ごめんって、正直待ってる余裕なかったわ」とゲラゲラ笑った。

「笑い事じゃない!笑い事じゃないんだよ……」

「なに、なに?(笑)」

俺が注文をとりにいくと、「注文が決まったら呼ぶ」と言って追い払われたのでカウンターの定位置へ。

俺はまた聞き耳を立てた。

「ちょ、なんかあった?マジ顔すんなって、車二台あったからいいじゃん、こっち五人しか乗れんし」

「ついてきたぞ」

「???おまえ?うん、わかっ……」

「ヤバイのがついてきたっつってんだよっ!」

マサオは完全に怒ってたし、先に来てた一同に沈黙が走ってた。

何か面白いことになってきた、こいつらマサオを置き去りにして逃げ帰ったんだ。

俺はますます仕事がはかどらず、呼ばれないのをいいことにカウンターに入り浸りだった。

「どーすんの、どーすんだよ、俺、車に乗せてきたかもしんない……」

マサオは震えていた。

「乗せてきたって、建物の中で見た人影?」

「憑いてる気がする……俺に」

「(爆笑)真面目に言ってんのちょっと、よし写メ撮ろ、写メ!」(パシャ)

それまでおちゃらけていた奴らが写メを見て叫んだ!

「マジじゃねーか!やばいやばいやばい、写っとる!」

「どれどれどれ」

「もうやだ……」

するとその中の一人がマサオに背中を向けさせ、簡易的なお祓いみたいなのを始めたんだ。

思えばそいつだけ終始、妙に冷静だった。

お祓いしながら「これ効くから、大丈夫。ここ置いてこ、な?」と言って。

『置いていく、って店にかよ』

そのとき俺は正直バカにしてたし、このあとマサオがどうなるのか期待でいっぱいだった。

俺は注文を取りに行くついでに、我慢しきれず聞いてしまった。

「あの、皆さんどちらに行かれたんですか?」

「ああ……湿沼ヶ原って知ってます?あそこ行ったんすよ」

湿沼ヶ原とは、俺の住むところでも有名な最強心霊スポットだった。

あまりにもヤバイんで、オカルト好きでも二の足を踏むような場所だ。

俺はせっかくなんで、写メも見せてもらえませんかとお願いした。

「見ないほうがいいと思うけど」

そう言いながら、もう消すからと見せてもらった。

マジだった。

マサオと後ろの窓の間にはソファの背もたれほどの隙間しかないが、肩越しに浮浪者のような女がはっきり写ってた。

「シャレにならないことになっちゃって(笑)」

俺は霊感もないし体験もなかったので、不思議なことって本当にあるんだなと、目の前で見届けたことに感激しながら注文をとった。

怖いから朝までいると言ったそいつらは、マサオ徐々に落ちつきを取り戻すころには心霊スポットの話をしなくなっていて、朝方何事もなかったように帰っていったそうだ。

一週間後に霊感のある常連さんが来てたんだけど、俺を呼んでこう言った。

「お店の雰囲気、変わったよね~……君の好きなお化け、ここいるよ。気をつけて(笑)」

俺は愛想笑いしながら、例のお祓い大学生の言い放った『置いていく』という言葉を思い出してた。

というもの、店では頻繁に怪奇現象が起きるようになってた。

写メに写ってた女を思わせる証言も多かった。

店長は霊を信じないと強がりながら、お守りの数珠を手首に欠かさずつけていたが、それが弾けるように数珠が切れることが何度もあったよ。

その辺の怪奇現象については割とすごかったんだが、いろいろありすぎて長くなるので今回はやめとく。

ちなみに俺は、大学生たちの件を他の従業員や客に話したことはなかったな。

他のバイトや従業員、果てはお客さんまでもが、その店で昼夜を問わず霊を目撃したり、怪現象を体験するようになってたのに対し、俺だけは店が潰れて辞めるまでに、何にも見えないし感じなかったことは今でも納得がいかない。

[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1412324824]

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後日談

その後店で続いた怪現象についての詳細。

ファミレスでの俺のシフトは、普段は週三日で17:00~22:00と日曜の昼間。

すべて肝試し帰りの客の一人が、憑いて来た霊らしきものを勝手に店に置いていった後での出来事。

1:マネージャーがゲスト用の女子トイレに近づきたがらなくなった

従業員はゲストルームが汚れてないか必ずチェックしてからでないと休憩に入れない。

その他にローテーションでトイレ掃除をしなければならないんだけど、マネージャーが女子トイレに長くいられない、できれば近寄りたくないなどと言うようになった。

女の人が女子トイレの個室の上からときどき顔を覗かせている、首から下が見えないと。

お客から女子トイレの掃除用具入れが勝手に開くから危ないとクレームもきたりしてたし、マネージャーは霊感があるとは聞いてたが、とにかく女子トイレに怯えていた。
(点検したが扉の故障や立て付けが悪いでもなかった)

店が潰れるひと月ほど前だが、子供が「トイレに行きたくない」と騒いだことがあった。

そのときは俺もいたんだけど、お母さんが困っていたのでパートの従業員に「どうしてトイレ嫌なの?」とその子に聞いてもらったら、「トイレの上のほうに怖い女の人がいる」と言ってぎゃん泣きしだした。

隣の男子トイレにすら近寄りたがらない、従業員用トイレも拒否したので、お母さんは近くのコンビニまで連れていった。

マネージャーは「あの子にも見えちゃったんだね」って言ってた。

2:店長が裏の事務所個室で発注と精算の作業をしていたとき

その個室には小窓がついており、そこから調理場が見える。

更衣室、または洗い場や従業員用のトイレにいく場合、従業員たちはその小窓の前(つまりキッチン脇)を横切ることになる。

お客さんは基本入れない。

店長曰く、長いボサ髪の見慣れない女性がスッ…と横切っていったので、作業を止めて調理場に出て「いま誰が出勤してきたのか」と尋ねたが、「誰も通っていない」と言われる。

泥棒や不審者だと困るので、念のため更衣室、トイレをノックし中を確認したが誰もいなかったのだと。

気のせいだったのか、と個室に戻ろうとしたら、今度は裏口(食材等の搬入口)のドアのチャイムが「ビビー」と鳴る。

裏口は防犯のため二重扉になっていて、外側のドアは鍵を持ってない者は開けられない。

内側のドアはチャイムを鳴らして、中からドアを開けてもらわないと入れない。

それに配送のくる時間帯でもなかった。

店長は強盗などを想像し、キッチンの肉叩きを構えてドアを開けたそうだ。

が、やはり誰もいなかったのだと。

それどころかドアを開けて、チャイムを確認しているその瞬間にもまた「ビビー」っと鳴らされたらしい。

もちろんそこに人などいない。

誰かが小窓を横切る、誰もいないのにチャイムが鳴る。

気味悪がった店長は「気のせいだ」「チャイムの故障」と言いながら、手首にお守りの数珠をつけるようになった。

これらは一度ではなく、後々マネージャーや他従業員も経験したようだが、俺はお目にかかれてない。

3:店の入り口扉の付近で待機していた時

繁忙時間以外はけっこう暇なもので、することがなければ、お客にいつ呼ばれてもいいように、来客をすぐに出迎えられるよう、店員は見渡せる場所で待機することがある。

そのスペースが玄関付近だったんだけど、俺ともう一人のバイトの女の子はそこで待機しながら軽く世間話してたんだ。

何気なく扉の外を見ながらね。

すると女の子が扉の向こうを見ながら、「あ、お客さんだ」と言っておもむろにメニューを持ち構えた。

「入ってこないのかな?あれ?行っちゃったね」

俺はどこにその客がいるのかわからず、女の子が独り言を言っているようにしか見えなかったので、「どこにお客さんいるの?」と尋ねたが、「いま扉の向こうに立って覗き込んでたでしょう!」と。

扉の向こうは俺も間違いなく見ていたが、人など立ってなかったし誰も覗き込んでもいなかった。

そう伝えたら「嘘でしょ?ほんとに?女の人だよ?怖がらせようとしてる?」

女の子は俺が変なこと言ってるって店長やマネージャーに言いにいったりしたが、そんなこと言われても、誰も居なかったもんは居なかったんだ。

店長が「俺そういうの苦手だからやめてくれよー」と俺に言いにきた瞬間、店長の数珠がはじけ飛んだ。

店長は顔面蒼白、数珠の玉集めるの大変だった。

4:フロア清掃の業者が入るときのこと

数ヶ月に一度の深夜帯、フロア清掃のために専門業者が入る。

その日は日付が変わる前に店を閉店させ、深夜シフトの従業員が立ち会うんだけど、閉店させてから業者が来るまで、従業員はキッチンの清掃をするんだって。

誰もいないはずのフロアから「すいませーん」とはっきり女性の低い声で呼ばれ、入り口の鍵をかけ忘れ間違ってお客が入店してしまったと思い、その人は慌てて出て行ったが誰もいない。

不思議がっているとまた女性の低い声で、今度はキッチンのほうから「おぉぉぃ」と声がしたそうだ。

怖くて業者がくるまで有線大音量にしてキッチンに引っ込むと、キッチン横を誰かが横切ったりしてパニックになり、思わず店長に電話したのだと言っていた。

店長はすげー怒ってたよ。

夜中ってのもあるし、電話で報告されたとき数珠がバチン!と切れてチビリそうだったんだと。

5:客からのクレーム

ランチタイム、柄の悪そうな男性客が突然「おい、あのホイド女追い払え」とクレームを入れてきた。

対応したパートの女性は何のことかわからず、どちらの女性かと尋ねたそうだが、「さっきから店の周りをうろついて窓から覗いてる、飯が不味くなる、さっきは向こうの席の客を窓から覗き込んでた」って。

そのとき他の客からそんなクレームもなくて、外をうろついて堂々と覗き込んでる女性がいたら従業員も気づく。

パートさんは訳がわからずホイドの意味もわからないし、ちょっとおかしい人なのかと対応に困ったそうだ。

※ホイド=東北方面の方言で乞食(このシーンでは浮浪者)

だが、窓から覗く不審者騒動は別の日の深夜帯、別の客でも起きた。

女性客が悲鳴をあげたので駆けつけると、女性たちは、「今女の人が窓に顔をくっつけて覗き込んでいた」「窓の下のほうに隠れたので立ち上がって覗き返したが誰もいなかった」と。

外に出て確認すると、そこにはみっしりと植木が植えられてて人が踏み込んだ形跡もなかったそうだ。

6:頻度が増す

早朝、マネージャーがモーニングの準備をしていたところドアベルが鳴った。

いらっしゃいませと出迎えに出たが入り口に客は立っておらず、キッチンのほうへ女性が入っていくのが見えた。

モーニングのシフトで入ってる水山さんが出勤したのだろう、とモーニングの準備を続けたが、その際すでに寒気が止まらなかったそうだ。

しばらくすると「おはようございまーす」と水山さんが出勤してきたので、マネージャーはさっきの人影が水山さんでない何かだと理解したそうだ。

その日は水山さんとマネージャーが突然吐いて体調を崩したり、誰もいないのに洗い場の食洗棚に並べた皿が棚ごと落下したり、バイトの女の子が「キッチンのほう(従業員入り口)にお客さんが入っていったけどいいの?」と客に言われたり、ただでさえ変なことが起こるようになっていたので、体調を崩したマネージャーは真剣に、水山さんを連れてお払いに行ってお札も貰ってくる、と店長に相談したという。

夕方出勤した俺がその話を店長から聞いている最中、また店長の数珠がバチンと切れる。

バイトの他の子まで具合が悪くなり、その日は帰っていったので店長と俺で夕方以降の繁忙時間の接客を乗り切った。

後日、マネージャーが本当に貰ってきたお札が事務所に置かれていたよ。

けど効果なかったんだろうな、不可解な現象は収まらず、その後も「まただよ」って報告されていた。

これほどだったのに、俺は置いてかれた女をこの目で確かめることはできなかったわ。

見えないもんは見えないし、感じもしないんだよ。

(了)

[出典:http://toro.2ch.sc/test/read.cgi/occult/1436891353]

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