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短編 怪談

破格の一軒家

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十五、六年前にやってたテレ朝「プレステージ」の怪奇話特集を覚えている人いるかなあ。

中島らもやなんかが出てたやつ。

あの詩人の長谷川龍生(はせがわりゅうせい)の話が当時マジコワだったんだけど。

詩人・長谷川龍生(りゅうせい)は当時静かな仕事場を探していた。

そして世田谷区の某所に破格に安い一軒家があったので、そこを借りることにした。

あまりに安い物件なので、なにかあるかもしれないとはうすうす予測していたらしい。

だが、長谷川氏は天涯孤独の身で、幼少のころから少々のことではビクリともしない強靭な精神を培っていた。

なんでも長谷川家の者はなにかの因縁か、けっこう凄まじい死に方をしているとかで、一家は離散し、龍生氏が長谷川家の最後の生き残りだとも言っていた。

なので、鬱そうとした庭もある、世田谷の広い屋敷を格安で借りれるとあってむしろ喜んだくらいだった。

引越しも無事に終わり、毎日机に向かって執筆活動をしていたが、ある日庭に出て、なんとはなしに家を眺めていると、おかしなことに気がついた。

家の二階部分に知らない部屋があったのだ。

龍生氏は家に入り、その部屋があるべきところを探していたが、なかなか見つからない。

ようやく二階の廊下の突き当たりが怪しいと分かり、板張りの壁を剥がすと、中からバッテン印に板切れを打ち付けられた入り口が現れた。

板切れを取り外し、中をのぞいた龍生氏はぎょっとした。

そこは八畳くらいの、まん中に囲炉裏があるような純和室で、『今のいままで老夫婦がふたりでお茶を飲んでくつろいでいました』というようにお茶碗もあり、日常そのままだった。

「なんでこの部屋が空かずの間になっているんだろう?」

龍生氏はさすがに少し気味が悪くなってきた。

仕事場は一階にあったが、その夜も執筆に専念していると、ふと背後に人の気配がした。

振り向くと、薄暗い部屋の隅に大きな柱が現れていた。

こんな所に柱なんかあったかな?と思い、なおも目をこらしてよく見てみると、柱の横に小柄な老人がちょこんとあぐらをかいて座っていて、龍生氏のほうを見てにこにこしている。

龍生氏は内心『とうとう出たな』と思ったが、不思議と怖くはなかった。

ここの主かなんかであいさつに出てきたんだろうくらいに思ったというから、その豪胆さにはおそれいる。

それから、毎晩のようにその老人が現れてきたが、なにを言うでもするでもないので放っておいた。

すると龍生氏の体調がだんだんと悪くなり、最後はほぼ寝たきり状態になってしまった。

身寄りのない龍生氏は、知人のヨネヤマママコ(米山ママコ)さんに連絡したところ、「あんた、このままだと死ぬよ」と言われた。

ヨネヤマさんによると、なにか家の庭にここの家族がひどく気にしてるものがあるはずだという。

それを探して供養しなければいけない。

龍生氏は翌日、辛い体を起こして庭に出た。

竹箒で荒れている庭の落ち葉などを掃いていると、庭の隅にそこだけ土の感じが違う所があったので、掘ってみた。

すると、おびただしい量の、ここの家族のものと思われる写真やアルバムが出てきたという。

その後、龍生氏が調べてみると、そこの一家に起こった凄まじい惨劇が分かったという。

その内容までは番組では明かされなかった。

多少記憶があいまいだが、だいたいこんな感じだったと思う。

そういえば、加納典明もゲストで出ていた。

当時オレは何があったのかめちゃくちゃ気になったが、どうしようもなかった。

知りたいような、知りたくないようなそんな感じ。

世田谷のどこかも分からない。

ある奴は永福町だとかも言っていたが、分からない……

(了)

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