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短編 山にまつわる怖い話

廃火葬場にまつわる話:五題

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廃火葬場にまつわる話

以前、オカルト板に山中の廃火葬場についてUPさせてもらった者です。

あれから知り合いとか聞いて回った結果、何本か廃火葬場関係のネタを仕入れました。

①先輩の話。

下山中に道に迷った時のこと。

藪漕ぎをしていると、小さな集落跡に出くわした。

木は全て朽ち果て、石垣造りの火葬場らしきものだけが辛うじて形を保っていたのだそうだ。

中を突っ切って下山を続けた。

しばらくすると開けた場所に出た。

ついさっき通り抜けたはずの集落跡だった。

下りる場所を変えて下山を続けたが、また同じ集落跡に戻ってしまう。

4度目に見覚えのある廃屋が見えた時、叢に埋もれた道祖神に気がついた。

とりあえず、非常食用の乾パンを捧げて手を合わせてみた。

その後二十分も歩かないうちに里へ出られたということだ。

②友人の話。

山仲間二人で里山歩きをしていた時のこと。

それほど深くない雑木林の中で、廃火葬場を見つけたのだという。

相棒は廃火葬場を見たのは初めてで、興味津々で中を覗きにいった。

覗き込んだ途端、青い顔をしてゆっくりと引き返してきた。

廃火葬場の鉄扉にはチェーンがかけてあったのだが。

黒い何かが中にいて、その扉の隙間から見つめ返してきたというのだ。

脱兎のごとくその場を離れたそうだ。

③友人の話。

私たちがよく縦走していた山道で、廃火葬場が見える所があった。

谷を挟んで向こう側の尾根に、朽ち果てたそれがぽつんと佇んでいた。

仲間内ではそこにあって当たり前の光景になっており、恐い思いをしたことは無かった。
ある夕刻、友人が一人でその山道を通った時のこと。

ふと目をやると、火葬場に灯りがともり煙がたなびいていたのだという。

朽ちたはずの小屋が、まるで建て直したかのようにしっかりしていた。

翌日そこを通って帰る時には、元の廃屋に戻っていたそうだ。

その後、誰が取り壊したのか廃火葬場はきれいさっぱりとなくなって、今はその痕跡すら見当たらなくなっている。

④知り合いの話。

部活でいつもの山を縦走している時のこと。

五人いたのだが、たまには違う道を開拓しようということになった。

友人が先頭に立って進んでいたのだが、麓近くで廃火葬場を見つけた。

多人数だったので、強気に中を覗き込んだらしい。

真新しい日本酒の瓶と、酒が注がれたお猪口が三つ、土間に並んでいた。

まるで今まさに飲んでいるような雰囲気だったという。

他にビーナッツと柿の種、そして頭を落とされた蛇が置いてあった。

慌ててその場から立ち去ったそうだ。

⑤後輩の話。

県境の山に登っていた時のこと。

林を抜けた先に廃火葬場があったのだという。

それを見た仲間一人が、いきなりそこに向かって走り始めた。

止める間もなく彼は廃屋に取りつくとその扉を開け放った。

何か黒い霞のようなものが中から染み出てきて、空に消えていった。

扉を開けた彼は、廃火葬場を目撃した後の記憶がなかったそうだ。

455 :雷鳥一号:2003/11/11 22:00

(了)

 

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