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短編 怪談

廃駅のベンチ

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これは、今から数年前、私が大学生だったときの体験談です。

152 :2006/08/12(土) 01:03:47 ID:9jj1BYOi0

当時、大学一年生の夏休み。

私はある本を読んで感銘を受け、北海道のとある廃線の後を辿る旅にでました。

それは、道東と道北の間を繋いでいた路線で、その当時で廃止から十数年が経ち痕跡も消えつつある廃線でした。

私は、少しでも路線の遺構が残っているうちに現地を見ておきたくなったのです。

まさか、あんなものまでみてしまうことになるとは……まったく予想していませんでした。

旅を始めて数日目の事です。

その日は、朝から天気に恵まれず、私は廃線沿いのとある小さな町の民宿で撮りためた写真の整理などをして過ごしていました。

その宿は、俗に言う「鉄の人」が集まる宿としてちょっとは知られた宿でしたので、昼食の後に、他の泊り客と情報交換を兼ねて雑談をしていました。

その際に、私は興味深い話を聞くことが出来たのです。

その話というのは、この町から廃線で数駅離れた今はもう使われていない廃駅に関する話でした。

その駅は、今では人家の一軒もない山中の廃墟となっていますが、路線が盛んだった頃には、近くの炭鉱からでる石炭の積み込み駅として賑やかだったそうです。

そして、その賑やかだった時代に、とある一つの悲話がありました。

駅の近くで商店を営む一家に、とても美人で評判の娘さんがいたそうです。

その評判は遠く離れた釧路や旭川でも噂になったほどで、東京の映画会社に誘われたこともあったそうです。

当然、その娘さんには何人もの男性が交際を申し込みましたが、彼女には子供の時から仲の良い男性がいました。

その男性は、炭鉱で働く貧しい若者でしたが、働き者で性格も明るく、近所の人たちは二人のことを祝福していました。

しかし、そんな二人にやがて悲劇が訪れました。

以前からしつこく交際を申し込んでいた男性の一人、彼は鉱山の労働者を斡旋する顔役で、まあ簡単に言えばヤクザ者だった男が、あまりに冷たい娘の態度に逆恨みし、娘の恋人を炭鉱の縦坑に突き落としたのです。

とはいえ、相手は札付きのヤクザ者でも地元の顔役です。

結局、その事は事故として処理されてしまったそうです。

恋人を失った娘は、結局事故として処理されてしまったことに悲観し、精神に異常を来たしてしまいました。

一説には、恋人を殺した男に乱暴されたという話もあります。

なんにしろ、娘は日々、恋人と待ち合わせていた駅の前のベンチで座り続けていたとのことです。

そしてしばらく経ったある日、娘は駅から列車に身を投げ、はかない人生を終えたそうです。

これだけでしたら、良くある悲恋譚なのですが、この話には続きがありました。

今でも、その駅の前のベンチに夜な夜な娘が現れるというのです。

最初は、半信半疑だった私も、地元の人である民宿の人が本当に見たことがあるというので、面白半分に見に行くことにしました。

翌日、朝から天気は快晴でした。

私は、廃線の後を辿りながら、昼過ぎに目的の噂の駅に辿りつきました。

まわりは廃屋しかない山の中でしたが、駅舎自体はまだまだ頑強に昔日の姿を保っており、また近くには同じ鉄の趣味の人も数人おり、写真を撮影したり雑談したりして時間をつぶしました。

私は、なんとしても噂の娘の姿を見たかったので、その廃駅に泊まるつもりだったのです。

娘が現れるというベンチらしき場所の近くにカメラの三脚を据え、あとは夜になるのを待つばかりでした。

今考えると、軽率な行為でした……

夜になり、あたりは真の闇に包まれました。

明りは自分の電灯だけ。

今か今かと最初のうちは、娘の出現を待っていましたが、なかなか現れません。

やがて退屈しきった私は、噂なんてこんなものだと一人納得し、廃駅の中に寝袋を広げ、寝ることにしました。

昼間からかなりの距離を歩いたので、すぐに眠りに落ちました。

深夜、時間は判りません。

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私は、人の声で目を覚ましました。

駅の前……そうです、噂のベンチのある方向から女の人の鳴き声が聞こえてくるのです。

私は、かなり弱気になりがならも、ここで見ておかないとここまで来た甲斐がないと思い、設置しておいたカメラの方に近づきました。

……ベンチのある場所には誰もいませんでした。

しかし、声だけはかすかに聞こえてきます。

私は、もう完全にびびりながら、カメラのシャッターを切りました。

数枚を撮影した後、私は突然気付きました。

さきほどまで誰もいなかった場所に、女の人がいるのです。

まずい。本物だと思った私は、慌てて後ずさりして駅舎の中に逃げ込みました。

そして、頭から寝袋を被り、震えていました。

しかし、私のほうに足音が近づいてくるのです。

一人で、静かな足音です。

そして、私の前に足音が来たとき、私は恐怖のあまり気を失ってしまいました。

気付いたときには、既に夜は明け、私はなぜか線路の上にいました。

恐怖の一夜でしたが、貴重な体験をしたとおもい、私は荷物をまとめ、前日まで泊まっていた民宿に戻ったのです。

ここからは、あまりに怖いので簡単に書きます。

宿に着いたとき、私は一人なのに、宿の主人に綺麗な人と戻ってきたねと言われました。もちろん一人きりです。

ベンチを撮影したカメラは故障してしまい、ついに直りませんでした。

メーカーの人も原因不明とのことです。

あと、私が、目覚めた線路の上は、後から聞いたのですが娘さんが身を投げた場所でした。

聞いた時には、正直本当に背筋がぞっとしました。

そして、今でも私は写真に撮られることが嫌です。

なぜなら、見知らぬ、憂い顔の美人が写真に一緒に写ることがあるから……

(了)

 

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