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短編 山にまつわる怖い話

ガードレールの女

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昔、走り屋の真似事をやっていた時のこと。

イニシャルDみたいなやつね

秩父のあたりだったけど、先輩の勝又さんと深夜一緒に走っていました。

ところが突然勝又さんは車ごとガードレールを突き破り、下の川に落っこちてしまった。

別に難しいカーブでもないのに、驚いて見に行くと、車がケツを上に向けて川に(浅い)突き刺さっている。

「ヤバい。死んだかも」と思って大声で勝又さんを呼ぶと、車はゆっくり引っくり返り、と同時に勝又さんが転げ出てきた。

「勝又さん大丈夫!?」と叫ぶと勝又さんは起き上がって手を振った。

勝又さんは道路に上がってきたし、とりあえず無事でよかった、と思いつつ警察を呼んで、レッカーが来たりして朝方、私の車で帰ったのです。

3ヶ月ぐらいして、勝又さんの車も別の車になり、それでも私たちは懲りずに同じような夜を繰り返してました。

そんな時ファミレスで勝又さんと、あの時は凄かったよねえ、なんて話してたら勝又さんが急に

「お前時々”見る”って言ってたよな」

と言いはじめた。”見る”ってのは幽霊のことで、私は17歳から27歳くらいまでの間、なぜかそういうモノが見えたときがあった。

いつも勝又さんは、そんな私の話を聞きながら「ホントかよ(笑)」なんて聞いていたものだった。

事情を聞くとあの時勝又さんは”決して俺がヘタだったわけじゃなく”という前置きをしつつ、見えない何かに引っ張られて、あぁいうことになったんだと思う、と言う。

じゃあ見に行こうよ、ってことになって、でも何かあったら怖いから、一緒に車に乗って行こうということになった。

私の車の助手席に勝又さんは乗り、勝又さんの車はファミレスに置いてあの時の峠に向かった。

ガードレールはすっかり直っていて、全くそこで事故が起こったことを感じさせないくらい、様子は違っていたけれど、間違いなくその場所だった。

ちょっと先の路側帯の広いところに車を止め、30mくらい後ろの、勝又さんが落っこちたガードレールまで歩いていった。

ガードレールから2人で顔を出して下を見ると、川のほとりで女が1人うずくまってる!!ギョッとして勝又さんを見ると

「結構高けえな。よく無事だったな」

なんて言ってる。この人見えてないんだ。と思ったら凄く怖くなって

「勝又さん、もう帰ろう」

と促して、(ドキドキしながら)そこを後にした。

車まで戻り乗り込む時にちらっとガードレールのところを見たら、なんとガードレールと道路の隙間から直径1m?くらいのデカい顔の女が、道路のふちに手をかけて、こっちをじーっと見ている!!

急いで車に乗り、バックミラーを見ないようにその場から逃げ出しました。

勝又さんにそのことを話せたのは、バイパス沿いのファミレスが近づいてきてからでした。

1mって書いたのは測ったわけじゃないんで、納得できない方はお許しを。

ただ、デカかったってコトを言いたかったんです。

ガードレールと道路の間の隙間に、目と鼻と、道路のふちに掛けた両手しか見えなかったってことです。

普通の人の大きさだったら、頭の先から肩くらいまでは見えると思うんですよ。

(了)

 

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