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短編 洒落にならない怖い話

ドアノブ

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以前、ある地方のあるアパートに住んでいたことがある。

508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:2000/11/25(土) 17:21

霊感とかは自分では全く無いと思うし、幽霊とか見た事は無かった。

自分の住んでいた部屋は六畳と四畳半の2部屋という間取りで、一階の端の部屋。

それまではホントに何も無く普通に暮らしてた。でもある日から突然おかしい事が起きはじめた。

奇妙な音。

四畳半の部屋で寝ていると6畳の部屋で誰かがボソボソしゃべっているような音。

最初は気にしなかった、というより気味が悪くて考えないようにしてた。

電気もつけっぱなしで寝るようになった。

でもそれが一週間、十日と続いてくると流石に気が参ってしまった。

ノイローゼになりそうだった。

それから仕事先から家には帰らず、同僚や上司の家にとまり歩く日が続いた。

人には話せなかった。根性なし、度胸なしと言われるのが恥ずかしかったから。

五日ぐらい帰らなかった。

でも流石に訳を隠して人の家に泊まり続けるのもそろそろ限界だった。

で、思い切って一人の同僚に訳を話した。不思議とすんなり信じてくれた。

たぶん、自分に気を使ってくれたのだと思う。マジメにノイローゼ寸前だったから。

次の日は休日だったし、同僚も一緒に自分の家に来てくれる事になった。

同僚がドアを開けようとした。普通に中に入ろうとドアノブを廻したんだと思う。

その瞬間、同僚がふっと立ち止まった。

「今、向こうでノブ、誰か廻したぞ……」

鳥肌が立った。同僚も身じろぎ一つせず立ちすくんでいる。

同僚が小さな悲鳴のような声を上げ、バッ、とノブから手を離した。

自分達が見たものは独りでにガチャガチャ言うドアノブ。

明らかにドアの向こうには誰かが居て、自分達が部屋に入る事を拒んでいるような感じだった。

同僚と自分は怖くなりそこを駆け足で逃げ出した。

しかし冷静に考えるともしかすると誰か中にいたんじゃないか……

そんなことも思い、思い切って同僚と警察に行った。

「何者かが部屋の中にいるようなんです」

と言うとお巡りさんが二人、一緒に来てくれた。

連絡も受けて管理人さんも来てくれる事になった。

お巡りさんと一緒に自分の家まで行った。お巡りさんは「中を見てきますので」と言うと家の中に入っていった。鍵は開けたままだった。

そしてお巡りさんに部屋の中に入るよう言われて部屋に入った。

盗まれたものは何か無いか?荒らされてはいないか?等の質問をされたが、部屋の様子は以前と変わらなかった。

お巡りさんは、近頃この辺も物騒だからもし何かあったらかまわずに通報してくれと言い残すと帰っていった。

それから少し遅れて管理人さんがやって来た。

自分は単刀直入に聞いた。
この部屋で以前何か無かったのか?と。

そして自分の体験した事を全て話した。

しかし管理人さんは何も思いつかないと言う。

こういう仕事をしてればそういう怪談めいた話は聞くこともあるが、自分が見ているところにはそういう因縁めいた所は一つも無いと言う。

私と同僚と管理人さんの3人で部屋の前の廊下でそんな話をしていると、またドアノブがガチャガチャ言い始めた。

気が狂いそうになった。

そのあと自分はすぐ引っ越した。業者に全部頼み、自分は引越しには立ち会ったが、部屋には一歩も入らなかった。

管理人さんに、挨拶に行くと、お祓いを頼んだよと言っていた。

同僚は今でもドアノブをつかむ事に何ともいえない恐怖を感じるそうだ。

自分も今になるとだいぶ落ち着いたと思う。

けれどいまだにドアノブを見る事が怖い……

(了)

 

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