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短編 ヒトコワ・ほんとに怖いのは人間

木刀を持ったおじさん

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十年以上前の夏の夜にY市のN区の裏通りを車で走ってたんだよね。

228 :本当にあった怖い名無し:2011/03/06(日) 04:28:39.67 ID:r65J31I80

そしたら目的地の方向に街灯に照らされた三人の人影が見えてさ。

別に気にも止めないで、そっちの方に走って行ったら、だんだんくっきり見えてきて。

一人が道路に寝転がってて、他の二人は棒を持ってるシルエットが見えてきて、三人が何をしてるか俺もピンときたんだけど、横に入れる道も無いし、いつの間にか一方通行になってるし。

そんなこんなで三人の場所から四~五メートルのところに車を停めたんだよね。

三人はみんな四十~五十代の人達で、棒(木刀)を持ってる一人のおじさんの頭は和製バンバン・ビガロみたいでさ。

窓を開けて走ってたんだけど、寝転がってるおじさんが

「氏ぬ~氏ぬ~」

って言ってるのが聞こえるわけよ。

木刀を持ってる二人のおじさんは

「何回言ってもわかんねえ奴は氏ね!」

的な事を叫んでバシバシ木刀で叩いてんのよ。

三人のおじさん達は誰一人、俺の存在に気付いてくれないわけ。

んで俺は意を決して声を掛けたのよ。

引きつりつつもニコッと笑ってさ、

「あの~すみませ~ん。ちょっと通らせていただけませんか~?(ニコッ」って。

そしたら木刀を持ったもう片方の、パンチパーマが伸びたヘアスタイルのおじさんが汗だくで血走った目でこちらをギロリと見て

「あ~これはこれはどうもすみません。いやいや、さっ、どうぞどうぞ」

って言って木刀を持ったおじさん二人は横によけてくれたんだけど、寝転がってるおじさんは

「氏ぬ~氏ぬ~助けてくれ~もうだめだ~」

って、うめいて道路に横たわっててさ。

車が通れないもんだから俺はよけてくれたおじさんに

「あの~すみませ~ん……」

って遠慮がちに言ったら、

「いや~なんだかすみませんね。ほんとに。ちょっと待ってて下さいね」

って困った様子ながらもフレンドリーな感じで息をゼーゼーハァハァさせて

「オラッ!車が通れなくて困ってるだろうがっ!さっさとどけろやっ!」

って蹴り入れるんだけど、おじさんすっかり伸びちゃって動けないでいて、それを見たバンバン・ビガロみたいな頭のおじさんが痺れを切らした様子で、でもフレンドリーに

「すみませんちょっと待ってて下さいね」

って俺に言うと

「オラーッ」

って言って寝転がったおじさんの足首を持ってハンマー投げみたく放り投げて、投げられたおじさんは道路横のフェンスにダイレクトに飛んでいってガサッと下に落ちたら

「あ~あ~は~ぁ~」

ってうめいててさ。

木刀持ったおじさん二人はニコッと笑って

「いや~お邪魔してすみませんでしたね」

って俺にペコッとお辞儀してきて、俺は俺で

「いやいや、こちらこそお取り込み中のところになんだかすみませんでした」

って深々と頭を下げて

「それでは失礼いたします」

って挨拶して俺は何事も無くその場を通れたんだよね。

ルームミラーで後ろを見るとおじさん達は俺をしばらく見送った後、また木刀を振り回してたよ。

怖かったよぉ……

[出典:http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1292631931]

(了)

 

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